華為技術(ファーウェイ)の5G支配が崩壊しつつある
これまで、次世代通信規格「5G」の通信網に使う基地局については、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が、圧倒的なシャアを取っていました。2019年9月の段階で、出荷数が累計で20万件を超えたと発表しています。
しかしながらここに来て異変が発生しています。
- 華為技術(ファーウェイ)の強み
- 異変が起きている国
1.華為技術(ファーウェイ)の強み
次世代通信規格「5G」の通信網に使う基地局については、華為技術(ファーウェイ)、スウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキアの3社で8割のシェアを構成しています。ファーウェイの強みは、何んといっても価格です。エリクソンやノキアと比較して価格が、2~3割安いと言われています。エリクソン、ノキアなど欧州勢は高い技術力と信頼性を強調していますが、華為技術(ファーウェイ)品質については、正直なところ良く分かりません。
アメリカは、安全保障上の懸念を理由にファーウェイに対する制裁を強めているのは、ニュース等でご存知かもしれませんが、欧州やアジアでは、ファーウェイの製品を採用する動きが続いていました。
実際、欧州やアジアを中心に世界の50超の通信会社と5Gの商用化に関する契約を締結しています。スイスの通信大手サンライズは、ファーウェイの製品を全面的に使い、欧州でいち早く5Gサービスを始めました。また、カンボジア通信最大手のスマート・アシアタもファーウェイと組み、東南アジアで初となる5Gの商用サービスを始めると発表していました。
2.異変が起きている国
次世代通信規格「5G」に関してアメリカは、ファーウェイに対して輸出禁止措置を発動し、同社製品を採用しないよう同盟国などに呼びかけていました。その呼びかけに対して、オーストラリア、ニュージランドや日本は、ファーウェイを排除していましたが、他の欧州各国は、アメリカの呼びかけに関して特に反応していませんでした。
しかしながらコロナウィルスの影響により、異変が起きています。
イギリス、ダウデン氏(デジタル・文化・メディア・スポーツ相)は、6/30の議会で、ファーウェイが、イギリス国内の「5G」に長期的に関与することはないと説明し、NECや韓国のサムスン電子など代替ベンダーからのアプローチを歓迎するとコメントしています。ダウデン氏は、国防委員会で質問に対し、ファーウェイの機器は使用されないと認めています。
カナダ、3大移動通信事業者であるテラス(TELUS)社は、これまでファーウェイの通信機器を100%使用してきました、「5G」の供給からファーウェイを排除することを決定したそうです。
フランス、サイバー・セキュリティー機関のANSSIは、ファーウェイを完全排除しないものの、中国の企業に切り替えることを避けるように携帯電話会社へ通告していると話しています。
ドイツ、政府は、ファーウェイの利用を反対していますが、ドイツテレコムは、エリクソンとファーウェイの利用を決めました。テレフォニカドイツは、ドイツ政府の意向を反映し、エリクソンの利用を決めています。
このように欧州勢も反ファーウェイの動きが高まっています。理由は、コロナウィルスの中国の情報開示に遅れにより、被害が拡大し、不信感が高まったのと、自国の経済がメタメタになったので反中国の動きが高まったことが想定されます。
しかしながらファーウェイ排除により、安価な通信コストの提供は、難しくなったかもしれません。最終的に対価を支払うのは、我々消費者なので、通信会社の更なるコスト削減努力が求められることになります。
日本の通信コストは、世界一高いとまで言われていますので、何んとか企業努力で頑張ってもらいたいものです。