タイ、巨大流通企業の誕生
ずっと書こうと思っていたのですが、遅くなりました。
タイでCPグループによるスーパーのTesco Thailandの買収が承認されました。日本では、あまり例のない買収なのですが、近しいのをあげるとイトーヨーカドーとセブンイレブンの関係に近いかもしてません。
1. Tescoとは?
2. CP Groupとは?
3. 影響
4. 伊藤忠商事の存在感
1. Tescoとは?
Tescoとは、「テスコロータス」の名称でディスカウントストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストアを運営し、店舗数は、約2,000店を展開しています。元々イギリスの小売企業でイギリスでは、ガソリンスタンド、銀行なども運営しており、アメリカのWalmartと並び巨大小売企業となります。実は、日本にも進出していましたが、2011年にイオンに売却されています。イオン銀行は、Tescoがモデルともいわれています。Tescoは、中国からの撤退も決めていますので、今回の売却により、ほぼアジアからの撤退となり、イギリス、アイルランドなど欧州に経営資源を集中することになります。
2. CP Groupとは?
CP Groupは、タイ最大のコングロマリット企業です。元々は、家畜飼料の販売や農業分野がメインでしたが、不動産、流通、通信分野にも進出しています。タイのセブンイレブンは、CP Groupが運営しています。また携帯電話のTrueもCP Groupとなります。
また元々Tescoがタイに進出した際に合弁先がCP Groupだったので、合弁先に買い取ってもらったといってもいいかと思います。更に今回は、規模はタイよりかなり小さいですが、Tescoのマレーシア事業の買収に含まれていますので、CP Groupによるアジアへの影響は、益々強まると思います。
3. 影響
今回の買収で一番焦点となったのは、独占禁止法です。CP Groupは、タイでセブンイレブンを運営しており、店舗数は、約10,000店です。2位のファミリーマートが約1,100店舗なので、コンビニ業界では、約90%のシェアを持っているといっても過言ではありません。またCP Groupは、鶏肉など食品加工も行っていますので、価格の統制がされるのではないかという懸念もあります。また、新規参入が難しくなるという懸念があります。タイのセブイレブンに行くとCPというロゴの入った商品をよく見かけます。お弁当、ハンバーガー、ソーセージなど商品は多岐に渡っており、これらの商品はシンガポールなど、他の国のセブンイレブンでも見ることが出来ます。このようにCP Groupは、プライベートブランドがあり、生産委託ではなく、自社で生産工場を持っているのが大きな強みとなります。まさに川上から川下までという感じです。
CP Groupは、今回の買収で百万人以上の雇用創出ができるとしています。Tescoは、農家直送品の野菜や果物を低価格で提供していましたので、CP Groupに買収後、中小のサプライヤ―の対応が気になります。日本の公正取引員会のようなOTCCが、中小のサプライヤーとの最低2年間契約継続、サプライヤーへの支払い期間など、CP Groupが大企業として優位的な立場を利用しないように制約を設けていますが、長い目で見た場合、CP Goupの傘下に入るか、淘汰されるか気になります。
4. 伊藤忠商事の存在感
CP Groupと伊藤忠商事は、2014年に業務・資本提携を行っています。伊藤忠商事としては、中国事業を軌道に乗せるべく、CP Groupと提携したのですが、今やCP Groupは、13カ国に進出しており、存在力を高めています。昔は、三井物産などがタイでは名が通っていましたが、今は完全、伊藤忠商事の一人勝ちといった状況になっています。