増える企業不正、コロナの影響なのか？
コロナウィルスにより、企業倒産が増えています。特にコロナウィルスの影響をダイレクトに受けた宿泊業などの観光業や飲食店などです。
そのような中でグローバルにサービスを展開していた2社が、不正会計を指摘されています。その企業が、ドイツのWirecardと中国の瑞幸咖啡（Luckin Coffee）です。
- Wirecardとは？
- 瑞幸咖啡（Luckin Coffee）とは？
- 2社に共通していること
１．Wirecardとは？
WIRECARDは、ドイツに本社を置く、決済サービス提供企業です。
1999年に設立され、eコマース、POS等の対面取引、NFCやウォレットサービス、カード発行業務などを行っています。また、カードに加え、モバイル（NFC、HCE、QRコード、BLE）、ウェアラブル、ロイヤリティプログラムまで、多岐にわたるビジネスを展開しており、成功しているフィンテック企業として世界200ヶ国以上でサービスを展開しています。
クレジットカード決済では、Visa、MasterCard、American Express、JCB、銀聯などに対応しており、決済サービスでは、120の通貨に対応しています。
ドイツ発祥の企業であるため、ヨーロッパでの売り上げが大きいですが、アジアでの成長も続けており、アジアでは、インドネシア、シンガポール、ベトナム、タイ、マレーシアなどでもビジネスを展開しています。シンガポールでは、Visaの子会社であるVisa Processing Service（Visaプロセッシング・サービス）の株式を取得し、アジア・太平洋地域でのプリペイドカードの取り組みを強化していました。また、ソフトバンクからも出資を受け入れています。
ところが、監査法人により、不正会計の疑いが発生し、2020年6月18日に19億ユーロ（約2300億円）の所在不明を認め、CEOが辞任し、破産手続きの開始を申請すると表明しました。
記事によると、2019年にフィナンシャル・タイムズが内部告発者からの資料提供を基に収益の不正な水増し疑惑を指摘したようです。売上高を水増しした結果、貸借対照表上の帳尻を合わせるために、存在しない「19億ユーロ」の現金を計上した可能性があるようです。
２．瑞幸咖啡（Luckin Coffee）とは？
瑞幸咖啡（Luckin Coffee）中国発祥のコーヒーショップです。
2017年に設立され、2018年1月に北京に1号店をオープンして以来、創業わずか2年の短期間で急成長し、店舗数では、スターバックスを上回っていたこともあり、「中国のスタバ」と呼ばれています。
スターバックスは、中国に進出して20年以上となりますが、あっという間に瑞幸咖啡（Luckin Coffee）に抜かれてしましました。また、2019年5月には、アメリカのナスダックへ上場しています。
ところが、記事によると不正会計が指摘され、内部調査によると、2019年第4四半期までに捏造されたとみられる売上総額は約22億人民元（約334億円）に達し、同期間には売り上げに加え、経費やその他費用も大幅に増加していたようです。
その結果、ナスダックから上場廃止決定通知を受け取るという結果になりました。瑞幸咖啡（Luckin Coffee）は、まだ倒産はしてませんが、今後、店舗の縮小、株主訴訟など色々な問題が待ち受けているはずです。
３．2社に共通していること
2社の不正は、コロナウィルス拡大前から行われてきたことですが、共通していることは、売上の水増し・捏造です。
コロナウィルスにより、小売業においては、売上の捏造は、もはや事実上不可能です。もし売上が増加しているようなのことがあれば、皆から着目されるでしょうし、新しいビジネスモデルとして称賛されていると思います。
更にコロナウィルスがいつまで続くか分からない状況ですので、監査法人もGoing Concern(企業が将来にわたって存続するという前提）を出しづらくなっており、より注意深くなっていると思います。売上の減少を最小限にするために、関連会社への付け替えなど、財務諸表の操作が行われる可能性があります。
コロナウィルスによって、日本企業が売上の水増しなどの不正が明るみに出ないことを祈ります。
