どうなる日産自動車?
英紙フィナンシャル・タイムズが、日本政府関係者が2019年に日産自動車とホンダの経営統合を模索していたと報じました。カルロス・ゴーン前CEOが、日産自動車を去ってから今後、どうなるかを検証したいと思います。
1.日産自動車の決算状況
2019年度通期(2019年4月1日~2020年3月31日)決算発表によると、2019年度通期の連結売上高は9兆8789億円、連結営業損失は405億円の赤字、当期純損失は6,712億円の最終赤字となっています。また、2019年度の販売台数は前期比10.6%減の493万台となっています。
更に先日発表のあった2020年度第1四半期の決算は、売上高が前年対比約50%の1兆1,742億円、営業損失は、1,539億円を計上しています。通期の純利益予想についても前年と同額の約マイナス6,700億円となると発表しています。
日産自動車は、フランス系、ルノーの傘下にあり、ルノーは日産自動車株を43.4%保有しています。しかしながら、販売台数、売上は、ルノーよりも日産自動車の方が、多いという状態になっています。
2020年7月30日に発表したルノーの決算発表では、1−6月期の純損益は72億9000万ユーロ(約9,000億円)の巨額赤字となっています。コロナウイルスの影響による自動車販売の落ち込みに加え、子会社である日産自動車の業績不振が足を引っ張った形となっています。実にルノーが計上した巨額赤字の約3分の2を占める48億ユーロ(約5,950億円)が、日産自動車による赤字となります。
ルノーの筆頭株主であるフランス政府は、6月に50億ユーロ(約6,200億円)の融資枠を保証しましたが、日産自動車の赤字でこの支援部分が、既に無くなってしまったことになります。まさに日産自動車よりも規模の小さいルノーとしては、日産自動車が重しとなってしまっている状態です。
問題は、ルノーが今年、12月期の決算を乗り切れるかどうかです。コロナウィルスの影響は、未知数ですので、業績が回復することがカギとなりますが、ルノーの株価は約50%近く下がっています。
3.ホンダとの経営統合はあるのか?
ルノーが、資金調達のため日産自動車株を一部手放すことは考えられると思います。また、日本政府に日産自動車株を買い取れとフランス政府が要求することも考えられます。ルノーは、フランス政府が大株主ですので、日産自動車もルノーの株式を15%保有することから考えると、民間レベルではなく、政府間の交渉がされるのではないでしょうか。
上記は、2018年度の販売台数ですが、世界のシェアの一角を担う、販売台数1,000万台を狙うのであれば、日産自動車とホンダの経営統合は考えられるかもしれません。しかしながら100万台あたりにいる中国の自動車メーカーも気になります。高いお金を出して中国のメーカーにルノーが株式を売らないとも限りません。
いずれにしてもしばらく日産自動車の動向から目を離せない状況が続くかもしれません。