どうなる日産自動車?三菱自動車の株式売却?
日産自動車が、三菱自動車の株式売却を検討している報道について「資本関係の見直しを行う予定はありません」とのコメントを発表しました。しかしながら資本提携を進めたカルロス・ゴーン前会長がいなくなった今、日産自動車が三菱自動車株を保有する理由が無くなっているのは事実だと思います。
2.株式保有割合
3.株式売却の可能性
2016年に燃費データの不正問題が三菱自動車で発覚しました。日産自動車は、三菱自動車が実施する第三者割当増資に応じて同社の34%の株式を取得しました。投資額は、2370億円で、これによって三菱自動車は、日産自動車の傘下で再生を目指すことになりました。
当時の自動車業界は、ハイブリッド、ディーゼル、PHV、EV、燃料電池車と多岐にわたり、莫大な開発投資が掛かっており、さらに人工知能を使った自動運転にも大きなリソースを割かなければならない状況でした。1兆円を超える研究開発費を投じていたトヨタに対して三菱自動車の研究開発投資額は787億円でトヨタの10分の1にも満たない状況であり、生産で同規模のマツダの研究開発費(1166億円)にも及ばない状況でした。したがって三菱自動車の資本提携は、必要不可欠であったかもしれません。
2.株式保有割合
日産自動車は、三菱自動車の持株比率34.03%で筆頭株主です。
株主構成 | 投資家情報 | MITSUBISHI MOTORS
現在の株価が210円ですので、保有株式を掛けると約1,063億円であり、かなり価値が下がっていることが分かります。
3.株式売却の可能性
まず、現在の状況から見てみると、2020年度上期の連結売上高は3兆927億円、連結営業損失は1,588億円、売上高営業利益率は5.1%減、当期純損失は3,300億円と発表しています。
通期の見通しは、連結売上高は7兆9400億円、連結営業損失は当初見通しから1,300億円改善した3,400億円に修正され、当期純損失は前回対比で550億円改善した6,150億円となる見込みとしました。
前にも日産自動車については、記載しましたが、日産自動車の主要株主はルノーです。
日産自動車よりも規模の小さいルノーにとって、日産自動車の回復がグループにとっての至上命題です。ルノーは、上半期で約9,000億円の損失を計上し、三菱自動車も通期で3,600億円の赤字を予定しています。既にグループで約2兆円の損失が発生していますので、少しでも損失を減らすために、三菱自動車の株式売却は、十分に考えられます。また、構造改革が進んでいると三菱自動車は、発表していますが、仮に業績が更に悪化した場合、減損処理を迫られる可能性もあります。
次回は、もし仮に売却された場合、三菱自動車の株式は誰が買うのかについて記載したいと思います。