カンボジア、中国人のオンライン詐欺
NIKKEI ASIAでカンボジアで起きている中国人のオンライン詐欺について記事が書かれています。今回は、その内容を記載したいと思います。
1. カンボジアで行われているオンラインギャンブルが原因
2. ギャングの間で売買される奴隷
3. 脱出するための身代金
4. カンボジア国籍を取得して、中国から逃れるギャング集団
1. カンボジアで行われているオンラインギャンブルが原因
中国では、オンラインに限らず一切のギャンブルが禁止されています。共産党政権が、インターネット検閲を行っているたオンラインギャンブルもないように思われますが、中国人をターゲットとしたオンラインギャンブルサイトが、海外に存在します。
少し古い話になりますが、2016年に中国で摘発された違法オンラインギャンブルサイトは、7兆円もの売り上げを上げていました。市場の大きさが分かります。
中国最大の違法オンラインカジノ、7兆円近い売り上げ 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
中国での規制が規模しくなると、カジノ業者は海外に進出しました。その一つが、シアヌークビルとなります。次々に中国資本のカジノが建設され、そのカジノの多くは、オンラインカジノのスペースを備えており、ディーラーとテーブルの映像をネット配信し、どこからでも何人でも参加できるようになりました。
当時、カンボジアは規制が緩かったため、許可を得た正規の事業者だけでなく、ホテルやアパートの一室で営業する違法な
中国のオンラインカジノ業者も次々と進出しました。
しかしながら中国政府が、多額のお金が海外に流れているのを問題視し、カンボジア政府に圧力を掛けたため、カンボジア政府は、オンラインカジノのライセンス発行を停止し、現在あるライセンスの期限が切れた際には更新を行わない旨を発表しています。
2. ギャングの間で売買される奴隷
表立ったオンラインカジノは、姿を消しましたが、違法オンラインカジノは、現在でも残っているようです。
手口としては、WeChatでオンラインオペレーターなどの職種で月給、$4,000~$5,000での求人が募集されているようです。応募すると空路ではなく、陸路でベトナムに渡り、カンボジアへ不法入国した後、船でシアヌークビルに連れていかれるようです。
プログラマーや警備役などを除いては、給料を払われず、オンラインチャットのアプリをダウンロードするよう言われ、中国本土にオンラインカジノやビットコインの勧誘などの詐欺をひたすら行うそうです。
また、ギャング同士の横の繋がりもあるようで、奴隷として働かされていた人が、$8,000で他のグループに売られることもあるそうです。
3. 脱出するための身代金
成績の悪いものは、暴力を振るわれ、女性は売春もしくは、ウェブカメラでアダルトビデオ撮影を強要されるそうです。逃げたものは、殺されるか拷問のビデオを撮影され、中国本土にいる家族に身代金が請求されるそうです。
身代金は、家族の富裕度合いによっても異なるようですが、この記事のインタビューに答えた人は、$15,000だったそうです。
4. カンボジア国籍を取得して、中国から逃れるギャング集団
2020年以降、中国の警察は、24,000件の違法ギャンブルを摘発し、延べ13万人以上を逮捕したそうです。カンボジアでは、過去、18カ月間のうち468人の中国人がカンボジアの国籍を取得しているそうです。全員が犯罪者というわけではありませんが、中国への強制送還を免れる目的の犯罪者もいるようです。
今年の8月には、シアヌークビルとインドネシアのオンライン詐欺シンジゲートに加担したとして、2名に対して多額の罰金と懲役15年が言い渡されたそうです。
米国の人身売買報告書では、カンボジアは、人身売買の監視リストに入っており、実際に、軍の将校が賄賂をもらって、ベトナムからカンボジアへ28人の中国人を不法入国させようとした罪で起訴されています。
カンボジアの警官はあてにならないのか、最近では、中国の治安機関が頻繁にカンボジアに訪問または、長期滞在している中国市民に対して、カンボジアで何をしているのかを尋ねる電話が掛かってくるそうです。また、中国に帰国した時には、警察から仕事や滞在場所の質問を受け、事業活動を証明する書類を提示するよう求められるそうです。
カンボジアだけでなく、ミャンマー、フィリピンでも同様のようなことが行われているそうです。なんだか、カンボジア、ミャンマー、フィリピンにいる中国人の見方が変わってしまいそうです。
Cyber slavery: inside Cambodia's online scam gangs - Nikkei Asia